小さな確認を怠らず、安心して任せてもらえる人でいたい

思考の披露宴

小さな確認、小さな連絡、小さな一言。
それだけで、不安がすっと消えることはありませんか。

私が塾の経営でも、ライターの仕事でもずっと意識していることです。
派手なスキルや華やかな実績ではありません。

ただ、相手を不安なままにしない。
それを当たり前にできるかどうかが、信頼の入り口になると思っています。

「できたら渡します」と「〇日までに渡します」は違う

仕事をしていると、「だいたいできました」「できたらお送りします」と言いたくなることがあります。

気持ちとしては正直なのですが、相手にとっては困る言葉だと思います。

「できたら」では、いつ届くかわかりません。作業のペースや時間の感覚は人によってちがうからです。

「〇日の〇時までにお送りします」
これだけで、相手はそこまで安心して待てます。

以前、ある仕事の納品で「明日中にお送りします」とだけ伝えたことがありました。
翌日、予定より早く仕上がったので、午前中にお送りしました。
相手からは「早くいただけて助かりました。午後に確認の時間を取っていたので、ちょうどよかったです」と返事をいただきました。

やはり、早目の行動は相手を安心させますよね。まず、それで怒る方はいないです。
期日を伝えることは、約束を重くすることではありません。
相手が安心して待てる状態をつくること。それだけです。

遅れるときほど、早く伝える

期日を決めて進めるのが基本だとすれば、その逆も考えられます。
「間に合わない」とわかったとき、どう動くかです。

予定通りにいかないことは、正直、誰にでもあります。
体調を崩したり、急な予定が入ったり、想定以上に時間がかかることもあります。

そのこと自体は仕方がありません。
ただ、問題になるのは遅れることよりも、その連絡をしないことだと思います。

期日を過ぎても何の連絡もなければ、相手は「忘れているのか」「もうやらないつもりなのか」と不安になります。

連絡があるだけで、その不安はなくなります。
「申し訳ありません、○日までに提出します」。

謝罪だけを重ねるよりも、次の見通しを伝える方が、相手にとっては安心につながります。相手が知りたいのは「なぜ遅れたか」よりも、「いつ届くのか」だと思います。

連絡を入れることに完璧な文面はいりません。
早さと今後の見通し、この二つだけでいいと思っています。

欠席した子への一言も、よく似たことなんです

塾で子どもたちと接していると、こういう場面があります。

前回休んでいた子が、次の授業に来る。
そのとき、何も言わずにそのまま授業を始めることもできます。

でも私は欠席の理由に合わせて、「どうしたん?」「もうよくなった?」「何かあったの?」と声をかけるようにしてきました。もちろん、踏み込みすぎない範囲で、です。

大げさなことではありません。ほんの数秒のやり取りです。
でも、その一言があるかないかで、子どもの表情は変わります。
「あ、気づいてくれてたんや」という顔になります。

保護者にとっても同じだと思います。
「先生、うちの子のこと見てくれてるんやな」と感じてもらえるかどうか。
それは指導の技術とは別の話で、「放っておかない」という姿勢の話です。

35年、塾の現場にいて気づいたことがあります。
信頼は、授業の上手さだけではないと思います。

「ちゃんと見ています」「気にかけています」という小さな意思表示が積み重なって、ようやく成り立つものです。目立つことでもなく、ほんのささいなことです。

でも、何よりも大切なことだと思っています。

確認は、相手を疑うためではなく安心してもらうためにある

仕事のやり取りで一番怖いのは、「言ったつもり」「わかったつもり」です。
お互いがそう思ったまま進むと、最後の段階で「思っていたものと違う」という事態になります。

ライターのお仕事なら、テーマの方向性、ターゲット、納期、修正の範囲、不明点。
私は依頼を受けたら、これらを自分の言葉で言い直して確認するようにしています。

以前、修正依頼を受けたとき、指示が「ここを直してください」とだけ書かれていたことがありました。
そのまま進めることもできましたが、「修正はこの箇所だけでよろしいですか? 他に気になる点があれば合わせて対応します」と返しました。

結果として、もう一箇所の修正が追加になりました。
一度で済んだので、お互いにとって手間が減ったと思います。

確認は、相手を疑っているのではありません。
認識をそろえて、安心して進めるための配慮です。

「細かい人だ」と思われることよりも、「ズレたまま進む」ことのほうがずっと怖いと思っています。

相手は、成果物を見る前にもう判断している

仕事は、成果物を出すことだけではありません。
依頼を受けたときの返信の速さ。不明点を確認する丁寧さ。途中経過の共有。

相手がまず見ているのは、実は成果物の中身ではないと思います。
やり取りの姿勢を見ています。

「この人に任せて大丈夫か」は、成果物が届くよりも前に、ほとんど決まっているのではないでしょうか。

逆に言えば、やり取りの段階で不安を与えてしまえば、どれだけいい仕事をしても信頼にはつながりません。仕事の力と同じくらい、やり取りの力が問われています。

 小さな確認、小さな連絡、小さな一言。どれも目立つことではありません。

でも、それを雑にしない人と仕事がしたいと思うのは、自分がそうされたら嬉しいからです。相手も同じだと思います。

これからも、安心して任せてもらえる人でいたい。

そのために、小さなことを小さいままにせず、相手を不安なままにしない確認や連絡を、丁寧に続けていきたいと思っています。

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